だんだん寒さが増し、風邪引きの多い季節が到来してきました。市販の薬が効かないので、病院で注射や薬を処方してもらって早く治そうと考える人も多いと思います。
そして、今でも多くの人が「風邪には抗生物質が効く!」と思っているかも知れません。
しかし、抗生物質に風邪のウイルスを退治する効果は全くありませんし、むしろ耐性菌が増えて危険だと言われています。
そこで今回は、風邪に抗生物質が全く効かない理由と危険性、本来の風邪への対処法などについて分かりやすく説明していきます。
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風邪とは

寒い季節になると「最近、風邪気味で調子がね・・・」なんて会話がそこら中で交わされ、これほど一般的な病気は他にないと思いますが、風邪とは一体どんな病気なのでしょうか?
風邪は、感冒(かんぼう)とも呼ばれ、のど、鼻、気管支などの粘膜に炎症が起こる病気の総称です。
風邪に明確な定義はありませんが、多くの場合は、風邪を引くと次のような共通の症状があります。
- 鼻水
- 咳
- のどの痛み
- 微熱
風邪の原因は、ウイルスの上気道への感染がほとんどですが、インフルエンザと風邪は区別されています。
鼻水・咳・のどの痛みが主な症状の風邪の90%はウイルス感染が原因で、残りの10%は、細菌感染などが原因となっています。
また、風邪は、2次感染を起こすなどして、こじらせない限り、安静にして、きちんと睡眠をとるだけで軽快するものです。
抗生物質とは
抗生物質とは、微生物が作った化学物質で病原微生物(細菌)を殺す作用をもつ薬のことを言います。
1928年に青カビから世界初の抗生物質であるペニシリンが発見されました。
青カビは、真菌であり、菌の一種です。ペニシリンは、青カビが細菌を殺すために作り出した化学物質=抗生物質でした。
このように抗生物質とは、細胞膜を持っている細菌に効く薬です。風邪のようなウイルス感染には、全く効果ありません。
その理由は、風邪やインフルエンザの原因であるウイルスには細菌のように細胞膜がありません。
細菌は、感染した生物から栄養をとり、自力で増殖します。栄養と感染する環境が適合すれば、生物以外のものに取りつくことが出来ます。
細菌(バイキン)が食べ物に繁殖して腐らせてしまうことは、ご存知ですよね。
これに対してウイルスは、ヒトや動物などの生きてる細胞にだけ感染します。ウイルスは自力で増えることができないので、感染した細胞の力を利用して増殖するのです。
このように、ウイルスは、細胞を宿主にするのでサイズが細菌と比べてとても小さく、細胞膜も持っていないので、抗生物質ではウイルスを死滅させることができないのです。
つまり、風邪の時に抗生物質を処方してもらっても、90%の場合無意味だということです。
風邪に抗生物質を処方するのは危険
風邪のようなウイルス感染症でも、ときどき2次的な細菌感染症を引き起こすことがあります。
しかし、風邪のウイルス感染症の時に、風邪がこじれないように予防的に抗生物質を使っても意味はありません。
むしろ、予防的な抗生物質の使用は、抗生物質の耐性菌を生み、薬の効かない細菌感染症を引き起こすことがあるので危険です。
もし、細菌感染と診断されて、抗生物質を処方された時は、用法と用量、使用日数を守って、適切に使用することが大切です。
自己判断による抗生物質の使用や、中途半端な使用中止は、耐性菌を作り出してしまゥ可能性があります。
最近まで日本の医師は、風邪を引くと細菌感染を起こしやすいから、予防的に抗生物質を処方するという間違った解釈をしていました。
米国では以前から、ウイルス感染には抗生物質を使うべきでないとガイドラインで明示されています。
また、欧米では昔から、風邪などのウイルス感染症に対する根本的な対処法は、免疫機能の回復が重要だと言われています。
十分な休養、栄養や水分の補給で、免疫力を取り戻して対処することが何よりも基本です。
自然療法を使った風邪の対処法はこの記事をご参考下さい!
記事:風邪のひきはじめをアロマオイルでブロックする方法とは?
まとめ
抗生物質は、風邪のウイルスには全く効果がありませんので注意が必要です。
効き目のない薬の使用を避けるためにも、細菌感染とウイルス感染の違いを知ることは大切です。
風邪には手洗いやうがいなどの予防が大切です、風邪を引いたら、十分な休養、栄養や水分をとって免疫力回復に努めることが大切です。