冬になると多い病気は?と聞かれると、あなたは何を思い浮かべますか?
たぶん、風邪、インフルエンザ、ノロウイルスなどの流感がほどんどだと思いますが、意外に冬に多いのが十二指腸潰瘍です。
この病気の原因のほとんどはピロリ菌だとされていますが、なぜ冬に発症件数が多いのでしょうか?
今回は、冬に多い理由、十二指腸潰瘍の症状、ピロリ菌を抑制し潰瘍を予防する食べ物などをご紹介していきます!
十二指腸潰瘍とは?
まず、十二指腸の名前の由来は、指12本分を並べたくらいの長さがあるからだと言われています。
十二指腸は胃と小腸をつなぐ、消化管の一部分です。
小腸は、十二指腸・空腸・回腸の3つの部分に分けられます。また、十二指腸も、球部・下行部・水平部の3つに分けられます。胃から送られてきた食べ物は、十二指腸で胆汁やすい液などの消化液と混ざりあって、空腸まで運ばれます。
この十二指腸の粘膜の表面が、自分の胃酸で傷つけられて、潰瘍(かいよう=傷ついて陥没した)ができた状態が、十二指腸潰瘍です。
これが進行していくと、出血したり、最悪の場合、穴が開いてしまいます。
十二指腸潰瘍が最もできやすいのは、胃酸の影響を受けやすい入り口部分である球部です。
30~40代の人にい多い疾患ですが、10代から高齢者まで幅広い世代でも見られます。
十二指腸潰瘍の原因
十二指腸潰瘍の95%はピロリ菌が原因だと考えられています。
ピロリ菌が胃の中に生息していることは、1982年にオーストラリアで発見され、十二指腸潰瘍の治療の概念を大き変えることになりました。
実際、50歳以上の人の60~80%は、ピロリ菌に感染していると言われています。
もし、ピロリ菌が、胃全体に感染すれば胃潰瘍に、胃の出口周辺、つまり、十二指腸の手前に感染すれば、十二指腸潰瘍になりやすいと言われています。
胃腸がピロリ菌に感染していると、ピロリ菌が出す物質が、胃の粘膜を傷つけ、さらに胃酸が粘膜を刺激し、胃潰瘍や十二指腸潰瘍になります。
ピロリ菌に感染している人は、必ず軽い胃炎を発症しますが、多くの人は自覚症状がありません。また、必ず胃潰瘍や十二指腸潰瘍になるわけでもありません。
胃はストレスの影響を受けやすいため、ストレスも潰瘍を引き起こす原因の一つだと言われています。
ピロリ菌の感染経路
幼少期に衛生環境の悪い川の水や井戸水に触れることや母子感染が主な感染経路だと考えられています。
50歳以上の人は、日本の環境衛生がまだ整っていない時代に育ったので、ピロリ菌の感染者が多いと考えられています。その一方で、環境衛生や衛生教育が整った時代に育った、若い世代ほど感染率が低い傾向にあります。
ピロリ菌は一度感染してしまうと、除菌するまで胃の中で生き続けることができます。また、ピロリ菌が原因となる胃炎の一部は胃がんに進行する可能性もあるので注意が必要です。
症状
十二指腸潰瘍の症状で、最も多いのは空腹時の痛みです。
また、夜間や早朝などにみぞおちに痛みを感じます。
口臭が臭くなることもあります。
胸焼けや吐き気を感じたり、食欲不振になったりする場合もあり、重症になると背部痛や、吐血、黒色便といった症状も現れます。
十二指腸潰瘍と生活習慣
日本人がよくたべる漬物などの塩辛いものは、胃腸の粘膜に刺激を与えます。
喫煙やアルコールも胃腸の粘膜へのダメージが大きく潰瘍を引き起こしやすくなります。
高脂肪・高タンパクの食品を食べると、消化に大量の胃酸が必要とされるので潰瘍を起こしやすくなります。
また、冬の寒さは胃腸の粘膜の血行を悪くするので、十二指腸潰瘍の発症件数も多くなる傾向があります。
ピロリ菌の抑制効果がある食品
病院で十二指腸潰瘍と診断されたら、通常ピロリ菌の除菌のために抗生剤が処方されます。
一般の食品の中にもピロリ菌を抑制し、除菌する効果があるものがありますので、処方箋と並行して食べるとさらに効果的です。
以下がその食品リストです。
- 特定の乳酸菌が入ったヨーグルト(LG21など)
- マヌカから採れたハチミツ(マヌカハニー)
- プロポリス
- ブロッコリーの新芽
- フコイダン(ワカメのぬめり成分)
- 緑茶のカテキン成分
- ココアの成分(カカオFFA)
まとめ
十二指腸潰瘍のほとんどの原因はピロリ菌だと言われています。
生活習慣の改善も十二指腸潰瘍を予防する上では大切なことです。
治療以外にも、ピロリ菌を抑制、除菌する効果がある食品を摂ることをおすすめします。
*つらいお腹の症状の原因となる感染症に関しては次の記事もご参考ください!
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