葛根湯は、風邪の引きはじめに使われる最もポピュラーな漢方薬のひとつです。
季節の変わり目などに体調を崩し、体がゾクゾク寒気を感じる時に葛根湯は強い味方になりますよね。
しかし、一般的に漢方薬は副作用が少ないと言われていますが、葛根湯はどうなのでしょうか?
また、葛根湯は妊婦さんや授乳中の方にとっては安全な薬なのでしょうか?
そこで今回は、葛根湯の効果的な飲み方、副作用、妊婦さんや授乳中の方への安全性などについてまとめてみましたので是非ご参考下さい!
葛根湯(かっこんとう)とは

葛根湯は、主要成分の葛根(カッコン)をはじめとした7種類の生薬(下記)をブレンドした漢方薬です。生薬とは、自然の草木から取った漢方薬の材料のことです。
- 葛根(カッコン)
- 麻黄(マオウ)
- 桂皮(ケイヒ)
- 芍薬(シャクヤク)
- 甘草(カンゾウ)
- 大棗(タイソウ)
- 生姜(ショウキョウ)
上記の生薬の中で麻黄(マオウ)には、西洋医学で言われる「薬理的な作用」があり、交感神経を刺激する成分が含まれています。
この成分はエフェドリン類と呼ばれ、気管支を拡張する西洋薬と同様の作用があり、風邪による咳や喘鳴(ぜんめい=ゼイゼイすること)の症状を緩和します。
その他、桂皮(ケイヒ)には穏やかな発汗作用があり、芍薬(シャクヤク)は痛みを和らげ、甘草(カンゾウ)には、抗アレルギーや抗炎症作用があります。
葛根湯は、薬理作用のあるこれらの生薬がブレンドされ協調して作用することで、風邪の引きはじめの諸症状、頭痛や肩こりなどに効果を発揮します。
葛根湯の効果的な飲み方
先ず、葛根湯は西洋医学をベースとした薬と違って、風邪の症状が進行してから飲んでも効果が発揮されません。
飲むタイミング
葛根湯を飲むタイミングは、風邪の症状を感じ始めた時がその時です!
特に下記のような症状を感じ始めたら(風邪かな?と思ったら)すぐに飲み始めることをおすすめします。
- 背中にゾクゾク寒気を感じる
- 寝起きの時に何か身体がだるい
- 首や肩の関節に痛みを感じる
- 鼻が少しむずがゆい
もし、風邪を引いて発熱が始まってしまったら葛根湯の効果は発揮されません。
その理由は、葛根湯は血行を良くして身体を温めることによって発汗を促します。
つまり、体を温めて発汗させて自然にウイルスを退治する作用があるので、風邪の引きはじめを越えてすでに発熱が始まった時は、葛根湯を飲むタイミングとしては遅いと言えるのです。
また、一般的に薬は食後に飲むものですが、葛根湯の場合は食前もしくは食間の空腹時に飲みます。
具体的には、以下のようなタイミングになります。
- 食前=食事の30分前
- 食間=食後2時間経過
これは、食後に葛根湯を飲むと、胃の中にある食物が邪魔となって生薬の有効成分がうまく吸収されないためです。
水よりも白湯で
葛根湯のような漢方薬は、冷たい水で飲むよりも体温以上の白湯で飲むと成分の吸収を早めます。
また、ドリンクタイプの葛根湯の場合は、冷蔵庫で冷やさずに常温で飲むことをおすすめします。
葛根湯の副作用

葛根湯をはじめとする漢方薬には副作用が少ないと言われていますが、体質や飲み合わせによっては副作用も報告されています。
もし服用後、何らかの異常を感じた時は使用を中止し、医師へのご相談をおすすめします。
副作用には下記のようなものが報告されています。
- 胃の不快感
- 吐き気
- 食欲不振
- 発汗過多
- 動悸
- 不眠
また、生薬の甘草を長期にわたって大量に摂ると、むくみや血圧上昇などの症状がある*偽アルドステロン症を起こす場合があります。
*副腎から分泌されるアルドステロンが過剰に分泌されていないのに、過剰分泌のような症状を起こすこと。
重い副作用としては、長期服用による肝臓障害も報告されていますので以下の症状にご注意ください。
黄疸(おうだん=白目が黄色くなったりする)、倦怠感、尿が茶褐色になるなどの症状がある場合は、ただちに服用を中止して必ず医師へご相談ください。
飲み合わせで注意が必要なものは
飲み合わせで特に気をつける必要があるものは、似たような成分を含む薬品です。
同じ様な作用があるものを同時に摂ることによって、相互作用(=お互いの効き目を強めあう作用)が起こりますので場合によっては非常に危険です。
葛根湯との飲み合わせに注意が必要なものには以下のようなものがあります。
- 麻黄を含む他の薬
- 甘草を含む他の薬(胃腸薬など)
- エフェドリン類を含む薬
- グリチルリチン(グリチロン等)
- 甲状腺製剤(チラーヂン)
- カテコールアミン製剤(アドレナリン、イソプレナリン)
- テオフィリン(テオドール)
- カフェイン(コーヒーなど)
- 他の風邪薬
妊婦や授乳中への安全性は?
葛根湯は、副作用が少なく効き目もマイルドなので妊婦さんや授乳中の方へもよく処方されています。
ただし、妊娠中の方は、市販の葛根湯もありますが、市販のものにはざまざまなタイプがありますので、なるべく病院で処方されたものを服用することをおすすめします。
また、上記で説明したような副作用の症状を感じた時は、ただちに服用を中止して医師へご相談下さい。
まとめ
葛根湯は、7種類の生薬をブレンドした、効き目がマイルドで副作用の少ない漢方薬です。
葛根湯は、風邪に引き始めには効果的ですが、風邪を引いて発熱が始まったしまった時は効き目が期待できません。
効果的な飲み方は、食前または食間に体温以上の白湯で飲まれることをおすすまします。
妊娠中や授乳中でも処方されますが、もし服用中に異常を感じた時は、直ちに服用を中止して医師へご相談ください。
*妊娠中や授乳中の薬の服用に関しては、次の記事もご参考ください!
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