【結核の初期症状】に注意!検査と治療とは?集団感染の予防法は?

結核

「結核(肺結核)」は、1950年まで日本の死亡原因第一位で、「死の病」として恐れられていました。

その後、健康診断やBCG(予防接種)ストレプトマイシンなどの治療薬の普及、衛生環境の向上によって「結核」は激減しました。

しかし、現在でも毎年約2万人が感染し、発病者の約10%が死亡していると言われています。

最近も大阪で集団感染があり死亡者が出て、昨年2月には警視庁渋谷署で大学病院の医師も含めて26人の集団感染者が出ていたことも発覚しています。

このように、結核は決して「過去の病気」ではないのです。

そこで今回は、注意したい結核の初期症状検査法治療法集団感染の予防法などについてまとめてみました。

 

結核とは

結核菌

 

「結核」とは、結核菌の感染によっておこる病気(感染症)のことで、原因となる結核菌(細菌)は、細菌学者コッホによって1882年に発見されました。

 

日本で1950年(死因第一位)以降、結核の罹患率(りかんりつ=集団における疾病発生率)は激減しましたが、欧米に比べると依然として高いと言われています。

 

結核は、2013年には日本の死因の第26位となっています。

 

一方、結核は世界的に見ると、HIV(エイズ)の次に死者の多い感染症で、2013年の統計では900万人が発症し、その内の150万もの人が死亡しています。

 

また、世界一死者数の多い感染症、HIVの患者の5人に1人は結核で死亡しており、衛生環境の悪い国での罹患率が高いのも特徴です。

 

結核患者(肺結核)の多くは家族内や職場内での空気感染によるものが多く、感染者が咳をしたときにでる結核菌を含んだ飛沫(ひまつ)によって人から人へと感染します。

 

結核は、肺などの呼吸器官への感染、つまり肺結核が全体の80%だと言われていますが、結核菌は一度病巣をつくると、血液やリンパの流れに乗って全身に広がってしまいます

 

肺以外の結核(肺外結核)には、髄膜炎(脳)、脊椎カリエス(骨や関節)、腎結核(腎臓)や結核菌が血管に侵入して血流によって2臓器以上に病巣をつくる栗粒結核(ぞくりゅうけっかく)などがあります。

 

結核の発病を放置した場合、結核菌が全身に広がり、高い割合で死に至る重篤な症状を起こしてしまうので、かつては「死の病」として恐れられていました。

 

日本の罹患率が欧米より高い理由は?

医療技術や衛生環境が格段に進歩している現在の日本では、結核は「昔の病気」と思われている方も多いと思いますが、「古くて新しい病気」とも呼ばれています。

 

実際、日本の結核罹患率(人口10万人に対する新規登録結核患者数)は、米国の5.5倍ドイツの3.0倍オーストラリアの2.9倍と欧米諸国と比べると依然として高い傾向があります。

 

また、日本での結核罹患率は、東京・大阪・名古屋などの大都市圏で高い傾向があります。

 

日本での結核罹患率が依然として高い理由は、高齢化社会集団感染の増加結核の受診の遅れの3つに分けて考えられると思います。

 

まず第一の理由に、結核菌の感染率は高齢者になるほど高い傾向があります。

ご存知のように日本はすでに高齢化社会を迎えており、高齢者の人口が多いぶん新たな結核を発病する割合も増加しています。

 

特に新登録結核患者数のうち80代以上の方の罹患率が非常に高くなっており、70代と比較 すると約2.7倍も高いと報告されています。

 

第2の理由に、学校や職場での集団発生件数が増加傾向にあるということが挙げられます。

先日も、大阪の職場で結核の集団感染が確認されています。

 

日本は、欧米に比べて学校でも社会でも集団行動をする機会が多いことが、罹患率を上げている要因の一つとして考えられるのではないでしょうか?

 

3つ目の理由は、結核の検査や診断の遅れによって早期発見が遅れてしまうことが、感染経路を広げ罹患率を高める結果になることです。

 

特に、30歳~59歳の働き盛りの世代の結核感染者に受診の遅れが目立っています。

平成26年の統計によると、その世代の38%もの患者さんに受診の遅れが見られたそうです。

 

結核(肺結核)の初期症状に注意

結核の初期症状

 

結核(肺結核)は初期症状に注意して、早期に受診して早期の治療を行えば、ほとんどは治癒していく病気です。

早期発見には次の症状に注意してください。

  • 風邪のような症状が出る
  • 咳や淡や37℃程度の微熱が長く続く
  • 寝汗を大量にかく
  • 全身の倦怠感
  • 食欲低下
  • 症状が良くなったり、悪くなったりを繰り返す
  • 重症化すると血痰、吐血、体重の減少が見られる

 

上記の症状は、血痰、吐血や体重減少以外は、冬期に流行する風邪とまったく同じですが、風邪の薬を内服しても症状が2週間以上続けば、肺結核の感染が疑われます

 

集団感染を防ぐためにも、結核の初期症状は見逃さないように気をつける必要がありますね。

子どもの場合は小児科、大人は内科呼吸器科に行って早めに受診されることをおすすめします。

 

結核の検査法

BCG

 

結核菌の感染を調べる検査法には、以下のようなものがあります。

 

X線画像検査

画像検査では、結核菌の病巣は白い影として写り、病巣発見の大きな手がかりとなります。

レントゲンと合わせてCT検査を行なうこともあります。

 

また、結核かどうか診断するには、まず画像検査と並行して痰の検査をおこなう必要があります。

画像検査のみですと、肺炎や肺がんなどの他の呼吸器の病気との鑑別が難しいからです。

 

そして、痰に含まれる菌が、結核菌非結核性抗酸菌なのかを調べるために核酸増幅検査をします。

 

ツベルクリン反応検査

ツベルクリンという液を皮膚に注射して、48時間後皮膚が赤く反応した人は、結核菌感染者BCG接種を受けた人であると判定できます。

 

ツベルクリン反応検査は、痰の採れない方や胸部X線写真の撮影が出来ない方に有効な方法です。 

 

インターフェロンガンマ遊離試験(IGRA)

この方法では、血液検査によって結核の感染を調べることができます。

 

ツベルクリン反応検査は皮膚反応を見るのに48時間後再検査の必要がありますが、IGRAは血液を採って試験管内で検査できます。

 

また、IGRABCG接種の影響を受けないため、最近は、ツベルクリン反応検査に代わって行われることも多くなっています。

 

クオンティフェロンTB2G (QuantiFERON-TB2G)検査

クオンティフェロン検査は、日本で2005年に体外診断用医薬品として承認され、2006年から、「診療または画像診断等により結核感染が強く疑われる場合」には、保険適応が認められます。

クオンティフェロン検査の判定能力は、ツベルクリン反応よりも正確で、BCG接種や非結核性抗酸菌感染の影響を受けません

 

クオンティフェロン検査は、日本での集団発生のケースにも利用されています。
ただし、結核診断の基本は痰などのの菌検査(結核菌の存在証明)であり、この検査は結核感染の補助診断法として使われています。

 

結核の治療法(薬)

治療法

 

以前は、結核に治療にはストレプトマイシン単剤の投与で効果がありました。

 

しかし、最近では薬が効かない耐性結核菌の出現により、次の4剤の併用療法を6~9か月間ほど行なう必要があると考えられています。

  • イソニアジド (INH)
  • リファンピシン (RFP)
  • ピラジナミド (PZA)
  • ストレプトマイシン(SM)、またはエタンブトール (EB) 

 

上記の4剤には、それぞれの副作用があるため注意しながら投与する必要があります。

結核の治療には、4種類の抗結核薬をまず2カ月併用し、その後の4か月間は、イソニアジドとリファンピシンの2剤にエタンブトールを加えたりします。

 

ピラジナミドは、肝炎の副作用を起こすことがあるので、肝機能に問題がある方や80歳以上の高齢者には使用を控えることがあります。

 

糖尿病の持病があったり、粟粒結核に罹っている場合は、通常より長めの投薬治療が行われます。

 

4剤の正しい組み合わせを規則的に投薬して耐性菌の出現を防ぐために、患者さんに医療従事者の目の前で薬の服用をしてもらう方法(DOTS)も米国から導入されています。

 

結核を早期発見して、適切な治療を正確に継続した場合の再発率は5%未満であると言われています。

 

結核の予防法とは

結核の予防法は、「感染の予防」と「発病の予防」の両面で行うことが大切です。

 

結核の感染を予防するためには以下のことに気をつける必要があります。

  • 定期的な健康診断を受診
  • 室内の喚起を十分にする
  • 外出時や人の多いところではマスクを着用
  • 結核患者に接触した場合は、接触者検診を受診

 

風邪の処方薬を服用しても、咳や痰、微熱の症状が2週間以上続く場合には結核を疑って受診することをおすすめします。

 

BCGワクチン

ツベルクリン反応検査陰性の生後4~6カ月までの子どもには、BCGワクチンを接種

 

化学予防

化学予防予防内服とも呼ばれ、家族や身近な人に結核患者が発生したり、学校や職場、病院などで集団感染が発生した場合で、胸部X線検査、ツベルクリン反応、血液検査の結果から結核感染が強く疑われる場合に行われます。

 

この場合、結核菌の存在を証明できなくても、将来の発祥のリスクを軽減するために、抗結核薬(イソニアジド)を通常、6か月間内服します。

 

免疫力をつける

結核は、感染しても全ての人が発病するわけではなく、感染者の80~90%は一生発病しません

そして、残りの10~20%の人が1~2年以内、または免疫力が低下した時に発病する傾向があります。

また、一度結核菌に感染した人は、再び感染することはまずありません。

 

つまり、結核菌に感染していても免疫力を高めておけば発病を防ぐことも出来るのです

 

結核を発病させないために免疫をつける予防法には以下のようなものがありますのでご参考ください。

  • 規則正しい生活
  • 適度な運動を毎日する
  • 過度のストレスをため込まない
  • 栄養バランスの取れた食事
  • 加工食品を避ける
  • お腹いっぱいに食べ過ぎない
  • 過度の飲酒を避ける
  • 喫煙しない

 

同じ環境にいても免疫力をしっかりつけている人はさまざまな疾病に対しても発病しません。

一番の予防法は、こころと身体の健康のバランスを取って、病気に負けない免疫力をつけることですね。

 

*感染症の予防や検査法、治療法に関しては次の記事もご参考ください!

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