「みかん」と言えば、手軽に食べられる冬の定番フルーツですが、もともと「温州みかん」(うんしゅうみかん)のことを指しています。
「みかん」といえば、ビタミンCが豊富なことで有名ですが、この度、農研機構果樹研究所で行われた10年間の調査の結果、日本の代表的なフルーツである「温州みかん」に多く含まれる、「β‐クリプトキサンチン」が、糖尿病やメタボ予防に効果的だと発表されました。
これは、糖尿病やメタボリックシンドロームなどの生活習慣病予防に心がけている方には大変な朗報ですよね!
そこで今回は、みかんに含まれる「β‐クリプトキサンチン」に焦点を当てて、みかんの糖尿病・生活習慣病予防効果やβ‐クリプトキサンチンの作用や注意点について分かりやすくまとめてみました。
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目次
β-クリプトキサンチンとは

β-クリプトキサンチン(β-cryptoxanthin)は、みかんの皮に多く含まれる、だいだい色の天然のカロテノイド色素のことです。
β-クリプトキサンチンの分子構造は、ニンジンなどに多く含まれる、β-カロテンに似ていますが、カロテノイド由来の黄色い色素である「キサントフィル」に分類されています。
キサントフィルの仲間には、卵黄やパパイヤなども含まれています。
わたしたち人間は、体内でカロテノイドを合成することが出来ませんので、食品として摂取しなければなりません。
人間が一日に必要なβ-クリプトキサンチンを摂取するためには、温州みかん1個分の含有量で十分だと言われています。
天然カロテノイドのβ-クリプトキサンチンに関しての研究は、β-カロチンなどに比べて比較的新しい分野になりますが、温州みかんの発祥の地、日本で多くの研究が進められています。
β-クリプトキサンチンを多く含む食品

β-クリプトキサンチンは、柑橘系の果物の皮の中に多く含まれています。
他に多く含む果物や野菜としては、ポンカン、パパイア、柿、赤ピーマンなどがあります。
次に、食品100g中に含まれる、β-クリプトキサンチン(㎍=マイクログラム)を比較してみましょう・・・
- 温州ミカン(1800㎍)
- ポンカン(1000㎍)
- パパイア(820㎍)
- 柿(500㎍)
- 赤ピーマン(230㎍)
このリストを見ても、温州みかんに含まれるβ-クリプトキサンチンがダントツで多いことが分かりますよね!
また、温州みかんは、100g当たりのカロリーも44.9kcalと比較的低くGI値33です。
ダイエット食の優等生であるリンゴの100g当たり54kcal、GI値39と比較しても、カロリーとGI値の両方とも低く、糖尿病の方や血糖値が気になり始めた方にもおすすめできます。
β-クリプトキサンチンの糖尿病への効果・効能
β-クリプトキサンチンの糖尿病への効果ですが、農研機構果樹研究所の調査によると、温州みかんを毎日3、4個食べている人は、食べていない人と比較して、57%も糖尿病の発症率が低く、非アルコール性肝機能異常症の場合では49%も低く、脂質代謝異常症(メタボリック・シンドローム)でも33%も発症率が低かったそうです。
糖尿病とは、血液中にあるブドウ糖濃度が異常に高い状態をいいます。
このように、β-クリプトキサンチンには、2型糖尿病にみられるインスリンの抵抗性を改善、血糖値の安定、脂肪細胞の肥大化を抑制するなどの効果が期待できます。
また、カロテノイドであるβ-クリプトキサンチンには抗酸化作用があります。
血中の活性酸素が健常者よりも多いと言われる糖尿病の患者にとって、脂質を酸化させたり、細胞を傷つける活性酸素の除去の効果があり、病気の進行を抑える効果も期待できます。
β-クリプトキサンチンには、その他にも、さまざまな効果が期待できると言われています。
- がん予防効
- 免疫力を高める効果
- 閉経後の骨粗鬆(こつそしょう)予防
- 水分保持による美肌効果
β-クリプトキサンチンの血中レベルとは?
上記で、β-クリプトキサンチンのさまざまな効果・効能についてお話ししましたが、次に、β-クリプトキサンチンのユニークな性質について説明しますね。
β-クリプトキサンチンは脂溶性(脂肪に溶ける性質)の成分なので、長期間に渡って体内に蓄積されるという性質があります。
つまり、温州みかんを冬期の一定期間食べた後、しばらくの間、みかんを食べていなくても、β-クリプトキサンチンには体内の脂肪の中に溶け込んで蓄積されているのです。
面白いことに冬期の中でも1月にβ-クリプトキサンチンの血中濃度が高くなるそうです。
やっぱり、正月は「炬燵(こたつ)でミカン」ですかね?
そしてその結果、夏場になってみかんを食べていなくても、高いβ-クリプトキサンチンの血中レベルがキープされると言うことです。
また、わたしたち日本人は、世界の中でも血中のβ-クリプトキサンチンのレベルが高いことが分かっています。
男性よりも女性の方の血中濃度が高く、特に妊婦の母乳中のβ-クリプトキサンチンの濃度は世界的にも高いことが分かっています。
β-クリプトキサンチンの注意点
上記でもお話ししたように、β-クリプトキサンチンは、糖尿病、メタボなどの生活習慣予防、骨粗鬆の予防など私たちの健康維持にとっても効果的な成分でみかんを食べることで簡単に摂取できます。
しかし、せっかく体に取り入れても、喫煙や飲酒をすることによって、β-クリプトキサンチンの血中濃度が著しく低下してしまうことが報告されています。
これは、喫煙や飲酒によって体内で多くの活性酸素が発生して、それを中和するために抗酸化物質としてのβ-クリプトキサンチンが浪費されるという理由からだと思います。
体に良いものを取り入れても、肝心の生活習慣を改善しなければ、その効果は半減してしまうと言うことですね・・・
これは、薬と毒を同時に摂るような感じでしょうか?
「健康な人生を目指すには、先ず生活習慣の改善から!」つまり、適度な運動と食生活の改善が一番ですね。
しかし、手軽に比較的安価に食べれる「みかん」にこんな生活習慣病の予防効果があったとは驚きですね!
*糖尿病に効果が期待できる食品については以下の記事もご参考ください!
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