ムコダインは、風邪の症状の中でよく出る痰(たん)を切りやすくしたり、鼻水、鼻づまりの症状を改善するために病院でよく処方される薬です。
ムコダインは、古くから使用されていますが、多くの場合は去痰薬(きょたんやく)として処方されています。
今回は、ムコダインの効果、効能や副作用、授乳中の使用などについてまとめてみましたので是非ご参考下さい。
ムコダインとは

ムコダインは、一般名を「カルボシステイン」と呼ばれ、杏林製薬が1981年から製造、販売している薬です。
特に風邪や気管支炎などで痰がからんでしまうような時に痰を切って出しやすくする薬、いわゆる去痰薬として有名です。
そして、風邪のおもな症状のひとつである鼻水、鼻づまりもこの一剤で改善できる効果があります。
ムコダインは、今から30年以上も前に開発されたお薬ですが、その効能の高さから風邪などの症状を改善するために、現在でも多く処方され続けています。
ムコダインの種類
また、ムコダインには以下の3つのタイプがあります。
- ムコダイン錠500mg/250mg
- ムコダインDS50%
- ムコダインシロップ5%
ムコダイン錠500mg/250mgは、固形の錠剤タイプで成人で通常1回分500mgを1日3回服用します。
250mgの場合は、1回分を2錠として服用します。このタイプは、子供には通常は処方されていません。
ムコダインDS50%は、顆粒(粉)タイプの薬で、錠剤よりも飲みやすく吸収が早いという特徴があります。
成人で通常1回分1包(主成分500mg)を1日3回服用します。
ムコダインシロップ5%は、シロップタイプの薬で通常は幼児や小児のために処方されます。
上記のいずれのタイプも、年齢や症状により用法容量が増減されます。自己判断せずに医者から指示された服用量や服用するタイミングを必ず守るようにしましょう。
ムコダインの薬価と市販薬は?
ムコダイン500mgの薬価は1錠が16円です。
つまり、一日分のコストは、16円×3回分=48円となります。
ムコダイン(カルボシステイン)の市販薬は現在ありませんが、カルボシステインを含む総合感冒薬には以下の2つが市販されています。
- ストナ去痰カプセル
- クールワン去痰ソフトカプセル
ムコダインの効果・効能の特徴
ムコダイン(カルボシステイン)には、以下のような2つの作用があります。
- 気道粘液調整作用
- 粘膜正常化作用
まず、気道粘液調整作用とは、気道(鼻⇒のど⇒気管支までの呼吸の通り道)から出される粘液(鼻水・痰・膿)の粘りを弱くしてサラサラにする作用のことです。
そして、その作用により以下のような効能があります。
- のどや気管支などに絡まる痰を切る
- 鼻づまりの原因となる鼻汁の粘りをスッキリさせる
- 蓄膿症などによる副鼻腔にたまった膿の排出
上記の効能により、気道がスッキリとすることによって、睡眠がとり易くなる効果も期待できます。
鼻をはじめとした気道がつまった状態でグッスリ寝ることは困難ですよね。
また、鼻づまりによる口呼吸は、のどからの感染症にもかかりやすく、心臓にも負担がかかるというリスクが生じます。
次に、粘膜正常化作用により、風邪や花粉症、蓄膿症の原因による副鼻腔炎や鼻炎、気管支炎によって荒れた気道上の粘膜を修復します。
荒れたままの粘膜は、ウイルスや細菌に対しての抵抗力が弱くなり、2次感染症を起こしてしまう可能性があります。
上記の作用によって、ムコダインはおもに以下の様な症状に処方されています。
- 上気道炎(咽頭炎、喉頭炎)
- 急性気管支炎
- 慢性気管支炎
- 気管支喘息
- 気管支拡張症
- 肺結核
- 慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の膿の排出
- 滲出性中耳炎の排液(小児)
ムコダインの副作用

ムコダインは、一般的に副作用が少なく、安全性が高い薬だと言われています。
副作用の頻度は少ないですが、一般的な副作用として以下のような消化器系の症状が報告されています。
- 食欲不振
- 下痢
- 腹痛
- 嘔吐
上記の消化器系の副作用は出たとしてもマイナーなものだと言われています。
また、皮膚などの過敏症として、
- 発疹
- 湿疹
- 紅斑(皮膚表面が赤くなる)
などが報告されています。
めったにありませんが、重篤な副作用として、
- 肝機能障害・黄疸(白目や皮膚が黄色くなる)
- 皮膚粘膜眼症候群(高熱、目の充血、目やになど)
- 中毒性表皮壊死症
- アナフィラキシー様症状(ショック)
などが報告されています。
上記の副作用は実際の臨床上ではほぼ見られないもので、ムコダインは非常に安全性の高い薬だと言われています。
しかし、肝臓への影響も報告されていますので、長期間に渡って服用される場合は肝機能検査、肝臓に病気がある方は医師へのご相談をおすすめします。
また、使用中に異常を感じた時は、直ちに使用を止めて医師の相談を受けてください。
妊娠中や授乳中の服用は安全か?
ムコダインの妊婦への安全性は確立されていません。
この場合は、実際に人体実験を行うこと自体が無理なので安全性が確立されていないのですが、安全性の保証がないものは服用しない方が無難でしょう。
次に、授乳中の使用についてですが、ムコダインは実際に生後2か月の乳児にも処方されている薬です。
また、母乳中に薬が移行する可能性もほどんどなく、ムコダインは授乳中に使用しても安全な薬だと言われています。
まとめ
ムコダインには、気道中にたまった粘りのある痰や鼻水をサラサラにして排出しやすくする作用と荒れた粘膜を修復する作用があります。
ムコダインは、副作用もほどんどなく授乳中の使用も安全な薬だと言われています。
ただし、使用中に異常な症状を感じた場合は、直ちに使用を止めてお医者さんに相談することをおすすめします。
*妊娠中や授乳中の薬の服用に関しては、次の記事もご参考ください!
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