【アレルギー疾患】体内時計が花粉症・喘息・蕁麻疹の症状を緩和?

体内時計

山梨大医学部の免疫学研究グループが、マウスの「体内時計」に作用する物質「カゼインキナーゼ」を使って研究した結果、「体内時計」が花粉症などのアレルギー症状を緩和させる仕組みを解明したことを2016年に発表しました。

ヒトの「体内時計」を利用してアレルギーの症状を緩和させるアプローチはとっても斬新ですよね。

このアプローチから、一般的に使われている抗ヒスタミン薬などと比べて、どのようなメリットが期待できるのでしょうか?

また、「体内時計」を変更することによる副作用の問題はないのでしょうか?

そこで今回は、研究の柱となっている、体内時計の仕組み花粉症、喘息、蕁麻疹などのアレルギー症状の起こる仕組み体内時計がアレルギーを緩和する理由などについて分かりやすくまとめてみました。

 

体内時計(概日リズム)とは

時計遺伝子

 

ヒトに限らず、地球上で生活している全ての脊椎動物、無脊椎動物、原核細胞(シアノバクテリア)、真菌類(アカパンカビ)にいたるまで、概日リズム(がいじつリズム=英名:サーカディアン・リズム)と呼ばれる、およそ24時間周期の「体内時計」が備わっています。

 

私たちは通常、特に意識してなくても、日中になると心も体も活動状態に入り、日が暮れて夜間になると休息状態に入り眠りについてしまいます。

 

この「体内時計」は、遺伝的に備わっている「時計遺伝子」によって動かされています。

 

体内時計の種類

また、「体内時計」は次のように2種類あり、それぞれが存在する場所も明らかになっています。

  • 中枢時計:脳内視床下部の視交叉上核に存在
  • 末梢時計:皮膚・肝臓・肺・抹消白血球などの臓器に存在

 

上記のように、「体内時計」は脳内だけではなく、体の臓器にもあり、睡眠や消化をつかさどる自律神経の調節やホルモンの分泌、心拍数や血圧の変動などの生体リズムを日々刻んでいます。

 

時計遺伝子が作る「体内時計の振り子」とは

次に、「体内時計」の振り子にあたる役目は、時計遺伝子が作り出すタンパク質が担っています。

 

もし、このタンパク質が増えると、タンパク質を作る時計遺伝子の働きが抑制されて、タンパク質が減少する方向に反応が進み、逆にタンパク質が減少するとタンパク質は増える方向に反応します。

 

このタンパク質(時計の振り子)の24時間周期の増減反応によるリズミカルな振動が、「体内時計」の生体リズムのメカニズムであり、別名「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。

 

体内時計のリセット

太陽光

 

ヒトは、毎日規則正しく夜になると眠くなり、朝がきたら目覚めますが、体のリズムは地球の自転のリズム(24時間)より1時間長い25時間であることが明らかにされています。

 

つまり、体内時計(概日リズム)は、毎日、地球時間と比べて1時間ずつずれていくのです。

そこで、このずれをリセットするものが「太陽光」なんです。

 

朝起きて太陽光を浴びることによって、脳内にある「体内時計」が1時間進み、地球時間にリセットされるのです。

同時に睡眠を誘導するホルモンであるメラトニンの分泌も止まります。

 

そして、朝日を浴びて、14〜16時間後には再びメラトニンが分泌され始まるのです。

 

昼夜逆転は生活習慣病に?

逆に、ヒトが夜中に2,500ルクス以上の強い照明を浴びると、「体内時計」のリズムがさらに1時間後退し、メラトニンの分泌も抑制されてしまいます。

 

その理由は、メラトニンの分泌が、おもに光によって調節されているからです。

 

つまり、ヒトが夜に明るい光を浴びる生活を長く続けると不眠の原因にもなります。

 

また、生体リズムの乱れは生活習慣病の原因にもなるといわれています。

以上のことからも、朝に太陽光を30分間くらい浴びて生体リズムを整えることが、健康維持にとっていかに大切なことかが分かりますよね。

 

朝、早起きして30分の散歩をするだけの大変効果的な健康法です。

 

では次に、花粉症などのアレルギーが起こるメカニズムについて説明しますね。

 

アレルギー反応(PCA反応)とは

マスト細胞

 

IgEとマスト細胞(肥満細胞)

先ず、アレルギー反応は発症機序によりⅠ型からⅣ型の4つに分類されています。
花粉症などのアレルギー性鼻炎はⅠ型アレルギーに分類されます。

 

また、このアレルギー反応(PCA反応:受動皮膚アナフィラキシー反応)には、2人のメインキャストがいます。

それらは、IgEマスト細胞(肥満細胞)のことです。

 

花粉症は、スギ花粉を代表とする特定の物質、アレルゲンによって引き起こされます。

アレルギー疾患を持つ人は、スギ花粉などのアレルゲンが体内に侵入すると、体はそれを侵入者としてキャッチして、アレルゲンは血液中のIgE抗体と結合します。

 

すると、マスト細胞ヒスタミンなど炎症性物質を放出して鼻水、眼のかゆみ、鼻づまりなどの炎症反応を引き起こします。

 

現在では、これらのアレルギー症状を緩和するために抗ヒスタミン薬を使って対処することが主流ですが、眠気などの副作用の問題もあります。

 

*抗ヒスタミン薬の副作用に関しては次の記事をご参考ください!

アレグラの効果と副作用について!授乳中の使用は大丈夫?

【花粉症】ザイザルの効果と副作用について!眠気や倦怠感は?

 

そこで、山梨大医学部の免疫研究グループの研究成果によって、「体内時計」を使った新しいアプローチの可能性が出てきました。

 

体内時計によるアレルギー症状緩和の作用機序

花粉症

 

アレルギー性鼻炎、気管支喘息、蕁麻疹などのアレルギー性疾患は、特定の時間帯に症状が出やすい傾向があります。

 

例えば、花粉症などのアレルギー性鼻炎は、朝方にくしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの症状が出やすく、「モーニング・アタック」とも呼ばれています。

気管支喘息の発作は夜間に多く、蕁麻疹は夕方から夜にかけてのリラックスタイムに多く起こる傾向があります。

 

山梨大医学部の免疫学研究グループは、今までの研究結果から、アレルギーの起こりやすい時間帯は免疫細胞内で「体内時計」を動かしているタンパク質に関係しているという結論を出しました。

そして、一定のタンパク質が減るとアレルギーの症状が悪化することが判明し、このタンパク質を分解させる酵素である「カゼインキナーゼ」の働きを阻害する化合物をマウスに与えて実験しました。

この化合物は、米国の製薬会社が不眠症の治療薬を作る過程で生成されたものです。

 

アレルギー疾患の症状緩和への期待

山梨大医学部の研究で、この化合物をマウスに投与すると、アレルギー性鼻炎特有のくしゃみや鼻かき行動などの症状が軽くなりました。

 

そして、花粉症患者の免疫細胞を使って同じ条件の実験をしたところ、人間の場合でも同様の結果が出ました。

その理由は、カゼインキナーゼの働きを阻害する化合物によって、「体内時計」が夜から昼に切り替わったためだと考えられています。

 

これによって、従来のアレルギー薬などとは違った、新しいアプローチの治療薬の実現化が期待されています。

 

「体内時計」を使った新しいアプローチ

この新しいアプローチは「体内時計」を薬品によって昼夜逆転させることが、作用機序になっています。

 

上記でお話ししたように、朝日を浴びることなどによる「体内時計」の調整(生体リズムの調整)は私たちの健康維持にとって大切なものです。

 

ヒトの「体内時計」を薬品で長期的に逆転することによる副作用はないのでしょうか?

また、アレルギーの根本原因ではなく、症状緩和のみにフォーカスしたアプローチのような気もします・・・

アレルギーの分野は、まだまだ解明されていない部分が多いので今後の研究の進展に注目したいですね。

 

*花粉症、のどや鼻の症状緩和に関しては次の記事をご参考ください!

【花粉症】ザイザルの効果と副作用について!眠気や倦怠感は?

アレグラの効果と副作用について!授乳中の使用は大丈夫?

夜に咳が止まらない!熱はないのに!原因と咳止めの方法は?

鼻づまりの原因と解消法!即効性がある5つの方法とは?

 

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