尿路結石とは、腎臓から尿道までの間に結石ができる病気です。
その中でも尿管結石は、「痛みの激しさ」が特徴で、さすがのアルゼンチン代表メッシも、痛みに耐え切れずFIFAクラブワールドカップ準決勝を欠場しました。普通の痛みとはレベルが違うらしいです。
そこで今回は、尿管結石の原因や痛みの症状、その予防法などについてお伝えします。
尿管結石・尿路結石とは

尿路結石とは、腎臓から尿道までの間に結石(石の固まり)ができる病気です。そして、尿路結石は体の上から、腎臓結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石の4つに分けられます。
尿路結石は、泌尿器科の外来の中でも最も多い病気のひとつで、その患者数も年々上昇を続けています。
結石の多くは腎臓で形成されますが、 腎臓結石は自覚症状に乏しいので、精密検査で初めて発見されることがほとんどです。
また、尿路結石の中でも、一番痛いのが尿管結石で、アルゼンチン代表のメッシもこれに罹って準決勝を欠場しました。
多くの場合は、その激しい痛みの発作で病院に運ばれた時に初めて尿管結石が発見されるそうです。
結石の原因

上の写真のような、尿路結石の約80%は、カルシウム(シュウ酸カルシウム、リン酸カルシウムなど)で形成されています。
「これが尿管に詰まると想像するだけでもとっても痛そうですね・・・」
その他の結石は、リン酸マグネシウムアンモニウムや尿酸で形成されています。
結石ができる原因は、まだ完全には解明されていませんが、食生活やストレス、生活習慣、遺伝や体質などの多くの因子が関係しているといわれています。
また、日本でも、尿路結石は年々増加傾向にあります。女性より男性に多い病気です。
その大きな原因は、欧米化された食生活によって動物性のタンパク質の摂取量が増えたためだと言われています。
シュウ酸
肉類を多く食べると、体内のシュウ酸や尿酸が増えますが、このうちのシュウ酸には、カルシウムと結合しやすい性質があります。
通常、シュウ酸カルシウムは、便とともに排泄されますが、シュウ酸の量が過剰になると尿の中にもシュウ酸カルシウムが増えます。
そして、尿の中のシュウ酸カルシウムが結石となって、腎臓や尿管に詰まります。
尿は、腎臓というフィルターを通ることによって作られます。
そのため、肉類などの動物性タンパク質を過剰に摂ると結石のリスクを高めてしまうのです。
カルシウムを多くとると?
それでは、カルシウムは尿管結石の材料になるので、結石を防ぐにはカルシウムの摂取を控えたほうがいいのでしょうか?
しかし、その答えは、「カルシウムを多く摂った方が、結石ができるのを防ぐことが出来る」です・・・
その理由は、カルシウムを多く摂ることは、腸内のシュウ酸カルシウムを増やし、それを便と一緒に排泄しやすくするからです。
つまり、シュウ酸カルシウムが、腎臓に届く前に排出されるのです。
現在の日本人の食生活の傾向は、カルシウムが不足しているのに対し、肉類などの動物性タンパク質は増えている状態なので、尿路(尿管)結石ができやすいのですね。
症状
腎臓に結石ができている場合(腎臓結石)は、通常、痛みの症状がほとんどありません。
そして、無症状の間にだんだん結石が大きくなり、腎臓にサンゴ状の結石ができている場合があります。
しかし、結石が、尿管にできた場合や尿管まで下がってきた場合(尿管結石)は別物で、突然の激痛発作が出るようになります。
尿管結石は、欧米では別名、痛みの王様(King of Pain)と呼ばれています。
こ痛みは、女性のお産の痛みに匹敵すると言われています。つまり、男性がお産の痛みを経験するようなものらしいのです。
尿管結石の典型的な症状は、疝痛発作(せんつうほっさ=突然の激しい痛み)と血尿です。
突然の痛みの発作に、家族がビックリして救急車を呼ぶことも多くあります。
激痛は、たいてい腰部や背部に走り、下腹部へも痛みが広がります。
この激痛発作は、人の生死にかかわることはありませんが、夜間や早朝に起きることが多く、痛みは、通常3~4時間も持続し、発熱することもあります。
尿管結石の治療法
尿管結石の治療は通常、以下の方法で行ないます。
- 薬物療法:排石剤(はいせきざい)や鎮痛剤
- 外科的処置:体外衝撃波結石破砕術
薬物療法では、尿をアルカリ化して結石の排石を促します。痛みに対しては鎮痛剤を使いますが、あまりの激痛がある場合、鎮痛剤があまり効かない場合もあります。これってかなり苦しいみたいです。
もし、薬物療法が効かない場合は、結石を内視鏡で確認しながら、衝撃波やレーザー等を用いて外部から結石を粉砕します。
予防法
結石の予防は、食生活の改善と運動が基本です。
食生活の改善
- 肉類などの動物性タンパク質の量を控える
- 牛乳、小魚、豆類、緑黄色野菜などからカルシウムを多く摂る
- ほうれん草やタケノコはシュウ酸を多く含むので控えるか、よく茹でて食べる
- お酒(特にビール)を控える(ワインは適度ならOKです)
- ビタミンCのサプリは控えめにする(体内でシュウ酸を作る)
- 紅茶やコーヒーもシュウ酸を多く含むので控える
- 水を一日2リットル飲む
運動の週間
食生活の改善に加えて、毎日軽めの運動をすると、結石の予防や自然な排出を促します。
- ウォーキング
- ジョギング
- 縄跳び
- トランポリン(ミニタイプ)
軽いジャンプや上下の動きが入った運動がおすすめです。
まとめ
尿管結石は、激しい痛みの症状が特徴ですが、特に命にかかわる病気ではありません。
発症の原因には、食習慣や生活習慣が密接にかかわっていると言われていますが、特に体内にシュウ酸を増やさないダイエットと適度な運動が大切です。