【ジカ熱と小頭症の症状】妊娠中感染が危険!予防法は?汗や涙の感染経路も?

zika-virus

2015年からブラジルをはじめとする中南米を中心に大流行している「ジカ熱」ですが、ブラジルではすでに感染確認者概数が150万人を超えていると言われています。

 

日本でも今年になって2名(神奈川と愛知)のジカ熱感染者が確認されています。

また、妊娠中の女性がジカ熱に感染すると、子どもに「小頭症」が発症する原因になることがCDC(米国疾病予防管理センター)によって証明されました。

 

2016年8月にはブラジル、リオオリンピックが開催されることによって、ジカ熱の世界的流行も心配されています。

そこで今回は、ジカ熱の感染経路や症状日本での予防法や治療法について、妊娠中の感染と小頭症との関連、妊娠中の注意点などについてまとめてみました。

 

ジカ熱とは

akagezaru

 

ジカ熱の原因となるジカウイルスは、2015年に日本でも一部の地域で流行したデングウイルスと同じフラビウイルス科フラビウイルス属のウイルスです。

 

デング熱の流行によって代々木公園が閉鎖され、媒体となる蚊の殺虫剤が撒かれたことは、まだ記憶に新しいですね。

 

ジカ熱(ジカウイルス)は、ネッタイシマカヒトスジシマカ感染媒体になると言われています。

また、ジカ熱の感染力は、デング熱と同程度だと言われています。

 

ジカウィルスは、1947年ウガンダのジカ森林のアカゲザルから発見されましたが、その後、ジカ熱の感染者の報告は殆どありませんでした。

 

ジカ熱(ジカウイルス)が、世界中に知られたのは、2007年ミクロネシアのヤップ島でアウトブレイクして、島民の約70%が感染した時です。

 

その後もジカ熱は、フランス領のポリネシア(2013年)、チリのイースター島(2014年)で大流行し、2015年にブラジルで大流行して現在の状況に至ります。

 

日本国内でのジカ熱の症例は、仏領ポリネシアから帰国した人(2014年1月)が発症したのが初めてです。

 

ジカ熱の症状

ジカ熱

 

ジカ熱に感染した場合、潜伏期間は数日から1週間程度ですが、60~80%の感染者は無症状であると言われています。

 

一般的な症状としては、以下のようなものや特徴があります。

  • 発熱
  • 筋肉痛
  • 発疹
  • 浮腫
  • 下痢
  • デング熱より症状が軽い
  • 4~7日間で症状が完治
  • 死亡率は1%未満と低い
  • ジカ熱を一度発症すると体内に抗体が作られる
  • ジカウイルスは母子感染を起こす可能性がある

 

ジカ熱の感染経路として、空気感染、接触感染や飛沫感染は報告されていませんが、ウイルス保持者との性交渉によっても感染は報告されていますので注意が必要です。

 

妊婦のジカ熱感染と小頭症の関連

小頭症

【CDC】Facts about Microcephal より出典

 

2016年2月1日にWHO(世界保健機関)は、小頭症ギランバレー症候群などの神経障害とジカ熱感染の因果関係についての緊急事態宣言を出しました。

 

先天性の小頭症は、生まれつき通常と比べて頭の大きさが小さく、頭蓋骨の成長が不十分で脳の大きさも小さく、脳の発育障害を起こすので知的にも障害が出る病気です。

 

現在、先天性の小頭症には有効な治療法が確立されていませんし、原因も解明されていません。

 

米国とブラジルとの研究グループが、ブラジルで報告された小頭症の乳児1118人分のケースを元に妊婦のジカ熱感染との関連性を分析したところ、妊娠17週目(約4か月目)の妊娠中期にジカ熱に感染した場合に小頭症の発症の危険性が高いことが分かりました。

 

今年の4月13日、遂にCDC(米疾病対策センター)によって、ジカウイルスが小頭症の原因になることが結論づけられました。

 

また、蚊に刺されることによって、胎児に小頭症のような先天的異常が現われることが証明されたのは、歴史的に初めてのことらしいです。

 

米国においても、妊娠初期にジカウイルスに感染した女性が小頭症の新生児を出産したことが確認されています。

妊婦の方は、お腹の赤ちゃんを小頭症から守るためにも妊娠初期、中期、後期にかかわらずジカ熱への感染に注意する必要があります。

 

ジカ熱感染の予防法と治療法は

ジカ熱

 

ジカ熱感染の治療法

ジカ熱感染に対しての治療法は、現状では対症療法のみで、痛みや発熱に対してアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛剤を使用します。

 

ジカウイルスに対して有効なワクチンは、今のところ開発されていません。

 

また、ジカウイルス・ワクチンの開発には、あと数年の期間が必要であると予測されています。

 

対症療法で注意することは、痛みや解熱の症状緩和にアスピリン非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用すると、出血症状を引き起こす可能性が高くなるので、使用を避けた方が良いと言われています。

 

ジカウイルス感染の予防法

ジカ熱は、蚊がウイルスの媒体になるので、感染の起こっている地域の蚊を駆除することが第一の予防方法だと言われています。

 

また、蚊の発生を抑えるために、ボウフラの発生しやすい水溜りを除去し、窓やドアに網戸を設置し、寝るときは蚊帳を使用することも推奨されています。

 

日ごろから素肌をさらさない衣服(長袖・長ズボン)を身に着けることも大切です。

衣服の色も虫の寄ってきやすい黄色などの明るい色よりも、紺色などのダークな色が良いかもしれません。

また、妊婦や妊活を行っている女性は、ジカ熱が流行している国や地域への渡航は避けることをおすすめします。

 

CDC(米国疾病予防管理センター)も特に妊娠中の女性に対して、感染が見られる国への渡航に注意を呼び掛けています。

 

CDCは、妊娠中のジカ熱の母子感染による小頭症乳児の出産の危険性を避けるため以下のような注意を呼び掛けています。

 

ジカ熱への感染が確認された、または感染症状がある場合は・・・

  • 女性は発症から少なくとも8週間は子づくりの性交渉を避ける。
  • 男性の場合は感染後6ケ月間は、子づくりのための性交渉を控える。
  • 性交渉には必ずコンドームを使用する。

 

ブラジルや中南米だけでなく日本でもすでに感染者(海外渡航者)が出ています。

ジカ熱を媒体するネッタイシマカの生息していない、南米チリでも性交渉によってジカ熱に感染した国内初の女性が確認されました。

 

ジカウイルスは感染後も男性の精子に残存する

英医学誌の『The Lancet』に先日掲載された論文によれば・・・

 

2015年の10月と11月にタイへ渡航してジカウイルスに感染し発症した27歳のフランス人男性が、今年の3月に検査を受けた際にも、彼の精子にジカウイルスの陽性反応が見られていたことが報告されました。

 

つまり、ジカウイルスは感染後93日(3か月を経た状態でも男性の精子に残存する可能性がある。」と言うことです。

 

ジカウイルスが新生児に「小頭症」を引き起こす原因となることはすでに証明されています。

 

ジカウイルスを持った蚊に直接刺されなくても、性交渉でジカ熱に感染する可能性があります。

 

特に男性の感染者(発症後3か月経っても)との性交渉は、相手の女性への感染と母子感染による新生児の「小頭症」の発症を防ぐためにも控えるべきだと言えるでしょう。

 

昨年のデング熱のように、今年はジカ熱が一部の地域で流行する可能性が高いかもしれません。

 

日本では毎年5月あたりから蚊の発生時期が始まりますが、地球温暖化の影響でその時期は早くなってきているとも言われています。

 

8月のブラジル、リオオリンピック開催以降は特に日本でも要注意です、特に妊娠中の方は!

 

ジカウイルスは輸血でも感染!

今年の8月17日付の米国医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンで、「ジカ熱(ジカウイルス感染症)は輸血によってもウイルス感染を起こすことが確認された」と発表されました。

 

輸血によるジカ熱感染が確認されたのは、54歳と14歳の女性患者で、この2人は今年の1月に同じドナーから血小板の輸血を受けていました。

 

上記の2人に血液(血小板)を提供したドナーは、献血後に発疹やひざの痛みを訴えました。

 

その後、このドナーの血液や尿を検査したところ、ジカウイルスに感染していることが確認されました。

 

輸血を受けた2人は輸血前はジカウイルス感染陰性でしたが、輸血後の検査によってジカウイルス感染陽性であることが判明しました。

 

ブラジルなどの研究チームは、血小板のドナーと輸血患者ら3人から検出されたジカウイルスは遺伝子が一致しており、また、3人の居住地域も離れているため、輸血によるジカウイルス感染であると判定されました。

 

今回のケースから、輸血ドナーのジカ熱感染経歴の有無には細心の注意を払わなければならないことが決定づけられました。

 

特に、妊婦の方に対しては医療従事者側は細心の注意を払う必要がありますね。

 

ジカ熱は汗や涙からも感染?

2016年9月28日付の米国医学誌『ニューイングランド医学ジャーナル=New England Journal of Medicine』において、アメリカ人男性(38歳)が、病床の父親(73歳)(米国ユタ州在住で既に死亡)の涙または汗を感染経路にジカウイルス感染した可能性があるという研究報告が掲載されました。

この男性の父親は、故郷であるメキシコに帰省中ジカウイルスに感染して6月に入院。そして、男性は手袋をつけず直に父親の涙を拭ったりして看病していたと言われています。

 

蚊の媒介、性交渉や血液や体液への接触などによる感染経路はこのケースでは除外され、この男性の父親からは通常のジカ熱患者の10万倍以上の高濃度のジカウイルスが検出されたと報告されています。

 

また、父親の血液中に高濃度のジカウイルスが存在した理由ついて明確ではないものの、父親にはデング熱に感染した病歴があり、それが関連しているのではないかと推測されています。

 

尚、この男性のジカ熱感染の症状は、約1週間で回復したと報告されていますが、この感染経路が確認されれば、世界で初めての「汗や涙によるジカウイルス感染のケース」になります。

 

ジカウイルスは性交渉がなくても、汗や涙からの感染経路の可能性もあると言うことで、更なる注意が必要ですね・・・

 

*ウイルスや細菌の感染症に関しては、次の記事もご参考ください!

【溶連菌感染症】大人にも発疹症状?潜伏期間と治療薬は?

【プール熱・咽頭結膜熱】子供と大人の症状と潜伏期間!検査と治療、予防法は?

【ウェルシュ菌食中毒】症状と予防対策は?カレーなどの加熱食品に注意!

【結核】の初期症状に注意!検査と治療とは?集団感染の予防法は?

【ノロウイルス対策】院内感染にも注意!予防法(消毒法)と検査法とは?

豚インフルが2016年ブラジルで大流行!リオオリンピックは大丈夫?

【RSウイルス感染症】大人の症状と赤ちゃんの肺炎!検査と治療は?